『目的の達成には自分の存在が不可欠であると実感できるように仕事を組織することである。』

P.F.ドラッカー,非営利組織の経営 第5部
代表取締役 瀧野 雅一

 被災地などで活動する人たちやボランティア活動する人たちは、なぜ無給で、場合によっては交通費や宿泊費をなどを負担してでも自ら進んで働きに行くのでしょうか? 一方、会社で働く人たちはお給料を頂くにもかかわらず、楽をしようとしてしまうのでしょうか? つまるところ、金銭的な報酬は決定的な動機づけにはならないのです。このことを裏付けるエピソードがあります。

 路上で、車から大きな荷物を降ろそうとしている人から、「お願いします。荷物を降ろすのを手伝っていただけないでしょうか」と声をかけらられた時、よほど急いでいない限り断る人は少ないでしょう。しかし、同じ状況で、「100円あげるから荷物を降ろしておけ」と言われた時はどうでしょう。断る人の方が多いと思います。

 金銭的な報酬を得ていないからこそ、働く人は仕事そのものからやりがいや達成感を得ているのです。何も得ることのないボランティアが長く働くことは、あり得ないのです。

 どんな職場でも、不平や不満はあります。働いている人が「みんなは、なぜやるべき事をやらないのか。」と愚痴を言いつつも、なぜ辞めないのかと聞かれれば、「とても大事な仕事だから」と答えるよう、目的の達成には自分の存在が不可欠であると実感できるように、仕事を設計していきましょう。何度もお伝えしていますが、仕事とは作業と手順のことです。

自己開発

 自己開発に最大の責任を持つのは、本人であって、上司ではありません。自らを、成果を上げられる存在にできるのは自らだけです。したがってまず、果たすべき責任は、自らのために最高のものを引き出すことなのです。自らが出来ることでしか仕事が出来ません。そして、周囲から信頼を得るには、自らが最高の成果を上げていくことなのです。バカな上司、バカな役員、役に立たない部下についてこぼしていても、成果は上がらないのです。

 マンネリ化した毎日が心地良くなった時こそ、違ったことを行うよう自らを駆り立てなければなりません。「燃え尽きた」とは大抵の場合、『飽きた』というだけのことです。喜びは成果の中になければなりません。

 石臼に向かいながらも丘の上を見るよう心がけるのです。仕事に飽きたということは、成果を上げるべく働くのをやめたいと同義で、目もまた石臼を見ているに違いないのです。

 仕事を変えるのもキャリアを決めるのも、自らです。会社に貢献し、自らに高い要求を課すのも自らです。飽きることを許さないように予防策を講じることも、チャレンジし続けるのも自らなのです。


 これまで、セルフマネジメントについてお伝えしてきました。いわゆる、成果を上げる人と上げない人の差は才能ではなく、いくつかの習慣的な姿勢と基礎的な方法を身につけているかどうかの問題です。

  1. 時間を管理する
  2. 貢献に焦点を合わせる
  3. 人の強みを生かす
  4. 最も重要なことに集中する
  5. 成果の上がる意思決定をする

①~⑤についてはぜひ習慣化して頂き、それぞれの職場で実践して頂ければと思います。ドラッカーのマネジメント論は理解することではなく、実践することなのです。

次回から『人と仕事のマネジメント』編になります。