『マネジメントには、仕事を生産的なものとし、人に成果を上げさせる役割がある。』

P.F.ドラッカー,マネジメント〈上〉第4章
代表取締役 瀧野 雅一

 マネジメントは、人を生産的に動かすのではありません。仕事を生産的になるように仕事を設計、つまり作業と手順を決めていくのです。生産的にするということは効率を上げるというより、より効果的に仕事をするということです。

 マネジメントは自ら成果を上げるとともに、人に成果を上げさせなければなりません。つまり、マネジメントを担う人には、肩書きや個室などの地位を表すシンボル以上のものが必要です。卓越した能力と高度の仕事ぶりが要求されるのです。

マネジメントの2つの課題

1つ目の課題は、①事業のマネジメント、②人と仕事のマネジメント、③社会的責任のマネジメントという3つの役割をバランスさせ、調和させなければなりません(図1)。1つでも犠牲にすることは、組織全体を弱体化させてしまいます。マネジメントが行うあらゆる決定と行動が、3つの役割全てにとって適切でなければなりません。

図1・事業のマネジメント・人と仕事のマネジメント・社会的責任のマネジメントをバランスさせなければならない

 2つ目の課題は、直ちに必要とされるのもと、遠い将来に必要とされるものとをバランスさせることです(図2)。いずれを犠牲にしても、会社は危険にさらされます。「川に着いてから橋をかける」では遅いのです。川に着く時期や橋をつくる期間を予見し、川に到着するはるか前から橋をつくり始めなければなりません。

図2・短期的な目標と長期的な目標をバランスさせなければならない

 短期的な目標と長期的な目標はたとえ調和させられなくとも、バランスはさせなければならないのです。バランスさせるということは、今日のために明日犠牲となるものと明日のために今日犠牲となるものを計算し、それらの犠牲を最小にとどめ、いち早く補うということです。

 マネジメントは、会社全体と自ら率いる部門の双方に責任を持ちつつ、現在と将来の2つの時相で活動していくことが必須となります。

 次回以降からは、マネージメント5つの仕事、①目標を設定する②組織する③チームを作る④評価する⑤自らを含めて人材を育成する、についてお話します。