『目標は絶対のものではない。方向づけである。命令されるものでもない。自ら設定するものである。未来を定めるものでもない。未来をつくるために、資源とエネルギーを動員するためのものである。』

P.F.ドラッカー,マネジメント〈上〉第8章
代表取締役 瀧野 雅一

 目標が単なる意図の表明であるとするならば、目標に価値はありません。目標は仕事として具現化しなければならなず、仕事には測定可能な成果、期限、担当者が必要です。しかし、目標で縛り付けてはいけません。なぜなら目標は期待にすぎず、期待は推測に過ぎないからです。

 目標は、事業の成否に関わる領域全てについて必要です。目標には人的資源の目標、資金についての目標、物的資源の目標、生産性の目標、社会的責任の目標、マーケティングの目標、イノベーションの目標など複数の目標があります。

 目標の設定において中心となるのは、マーケティングとイノベーションの目標です。なぜなら、顧客が対価を支払うのはこの二つの領域における成果と貢献に対してだからです。

 マーケティングとは売りたい物を考えるのではなく、『顧客は何を買たいか』を考えることです。マーケティングは販売とは全く違うものです。確かに、何らかの販売は必要です。

 しかし、マーケティングの理想は、販売や販売促進を不要にすることで、マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、顧客に製品とサービスを合わせ、自ずと売れるようにすることです。理想はすぐにでも買いたくなるようにすることで、手に入れられるようにさえしてあげれば、自動的に売れるようにすることなのです。

 道のりは険しく遠いですが、理想を目指し事業の目的とミッションに照準を合わせ目標を設定します。そして、「われわれの事業は何であるべきか」との問いを自らに投げかけて、真剣に考えるのです。そうすることで初めて戦略を発展させ、資源を集中し、活動を開始できるのです。

 イノベーションとは新しい満足を生み出すことです。企業は常により良いサービスを供給しなければなりません。イノベーションの目標は製品とサービスにおけるイノベーション、市場におけるイノベーション、製品とサービスを市場に持って行くまでの流通チャネルにおけるイノベーションの3種類があります。

 イノベーションの結果、もたらせるものは値下げかもしれません。生産的なイノベーションとは単なる改良ではなく、新しい欲求に満足をもたらす財とサービスの創造です。そのような製品の価格は、一般的には高くなります。しかし全体としての効果ははるかに経済的になります。

 市場シェアについての目標も、売り上げ増の目標よりも大切です。自社の売り上げより市場規模の拡大の方が大きければ、自社のシェアが縮小するからです。市場シェアが小さくては、十分なアフターサービスが行えません。目指すべきは最大ではなく市場においての最適です。

 目標を設定するのは、知識を得るためではありません。行動するためです。社員のエネルギーを正しい方向に向けさせるものです。したがって、検討の結果も具体的な目標、期限、担当者を含む実行計画です。

 目標は実行されなければ、単に良き意図に過ぎないのです。