『管理手段はあくまでも目的に対する手段であり、目的は方向づけにある。』

P.F.ドラッカー,マネジメント【中】第39章
代表取締役 瀧野 雅一

 管理手段を用いた方向づけは、働く人達の動機づけにつながらなければ意味がありません。

 客観的なデータをもとに評価測定をしようとしても『90%出来ている』と見るのと『10%出来ていない』と見るのとでは受け取る印象も、次に行う行動も違ってきます。

 『80%の犯罪者が犯罪を犯す24時間以内に食している食べ物がある』と聞くと、その食べ物を避けたくなります。しかし、その答えが『お米』と聞くといかがでしょう。データは客観的とも中立的ともならないのです。

 例えば、収益悪化のデータは値上げを意味するとは限りません。複数の対応があります。ということは、データが示している事象に意味がないかもしれません。たとえ意味があったとしても、その意味がわかるとは限りません。

 したがって、データを基に意思決定を行うということは、仮定に従って行なわざるをえないということになるのです。

・管理手段は業績に焦点を合わせる

 会社のみならず、あらゆる組織が社会、経済、人に役に立つために存在しています。

 ということは、成果は組織の外にあります。それは社会、経済、顧客に対する成果として現れます。企業のあげる業績(利益)にしても、それをもたらすのは顧客だけなのです。工場の製造や研究開発のいずれも、企業の内部に存在するのはコストだけなのです。

 すなわち、管理的な活動のほとんどがコストなのです。効率的な仕事を記録し、定量的に把握することは容易に出来ます。しかしそれは努力を記録しているにすぎません。

 いかに効率が良くても、売れない製品を生産していたら事業を継続することはできなくなります。成果すなわち会社の外部に生み出したものを記録し、定量的に把握するための手法は別のものなのです。

・真のマネジメントとは

 会社は人の集合です。働く人それぞれが異なる価値観、目的、ニーズを持つ集合です。働く人のニーズを満たすものが、各種の報償制度だったり抑止策です。

 給与は定量的です。どんな業績をあげた人が報償されるかで、働く人の行動の誘因になります。

 場合によっては「あの行動が褒められるのか(自分には出来ない、合わない)」と会社を去る人も出てくるでしょう。売上を上げた人だけを昇進させれば、売上を上げられなかった人はその会社を辞めるかもしれません。イエスマンばかりを厚遇したり、リコメンドする人を冷遇するのも然りです。

 定量化しにくい、つまりデータには現れにくい、またデータとして現れるまでに時間のかかる人財育成・研究開発・新商品(新製品)の開発・情報収集等に優れた人たちをどう評価するかで、会社の価値観・目的・役割を教えるものとなるのです。