『マネジメントには、仕事を生産的なものとし、人に成果をあげさせる役割がある』

P.F.ドラッカー,マネジメント<上>
代表取締役 瀧野 雅一

 マネジメントという言葉から何を連想しますか?『管理』、『経営』、『統制』・・・。

 マネジメントというコンセプトを生み出したと言われているピーター・F・ドラッカーは、マネジメントとは、『仕事を生産的にし、人に成果を上げさせるための機能』と言っています。つまり、生産的にするのはあくまで仕事であり、人を生産的に動かすということではないということです。

 仕事とは作業と手順、作業とはいくつかの動作のことです。生産的というのは、効率より効果を重視するということです。もし、成果が思うようにあがっていない、生産的でない、又、同じ作業をやっても遅い人がいます。そのような時は成果の上がっている人との作業と手順を比較し、改善していくとよいでしょう。そして、評価測定はあくまで仕事振りであって、人間性を評価してはいけません。成果をあげるのはマネジメントであって、それによって人に成果をあげさせるということになります。

 それから、マネジメントを学ぶ上で前提があります。それはマネジメントには4つの種類があるということです。

マネジメントの種類
  1. 事業のマネジメント
  2. 仕事のマネジメント
  3. 人のマネジメント
  4. セルフマネジメント

 2と3を合わせて組織のマネジメントと言います。仕事は人が行うものなので、とても密接な関係にあります。3、4は異なるもののマネジメントと言います。一人ひとりは皆違うからです。1、2は方向付けのマネジメントと言われています。つまりマネジメントとは異なるものに方向付けを与えるということです。そして方向付けはミッションやビジョン、成果、目標そして計画などによって行われるべきとしています。

 1、2が論理的なものであるのに対して、3、4は情緒的であり非論理的です。例えば人はダイエットしようと言いながら毎日食べすぎたり、節約をしてお金を貯めようと言いながら衝動買いをしてしまったりします。よって、人の動機づけには論理的に正しいだけではなく、情緒的な要素を取り入れていかなければならないのです。

 つまり、マネジメント能力は客観的な分析に優れているだけではなく、共感する能力、他社の仕事を理解する能力、個性などの非合理的な要因に対する感覚が必要となります。次回は、セルフマネジメントについてお話をしたいと思います。