『企業の規模ごとに、それぞれに応じたマネジメントの構造が必要である。』

P.F.ドラッカー,現代の経営《下》第18章
代表取締役 瀧野 雅一

 ドラッカーは企業の規模には個人企業、小企業、中企業、大企業、巨大企業の5つの段階があると言います。ここでは小企業、中企業についてふれたいと思います。

◯小企業

 小企業は社長と従業員の間にマネジメントの階層が一つ存在します。工場長や営業部長がいる会社は立派な小企業です(社長と営業部長の2人の場合は個人企業といいます)。小企業のトップマネジメントでは、目標の設定や業務の遂行を行う専任者を必要としません。事業全体のマネジメントと販売や生産などのマネジメントの双方を行うことになります。それでも小企業がマネジメントを必要とすることに変わりはありません。

◯中企業

 中企業で目標設定をする時、基本的には機能別の部門長を中心に行うことが良いとされています。したがって、トップマネジメントと部門長(営業部長や工場長など機能別部門の経営管理者)との関係が課題となります。中企業の場合、この関係に関わる問題を解決できないと深刻な状況をもたらすことになります。

小企業・中企業の抱える問題

 小企業・中企業に共通する問題は規模が小さすぎるために必要な経営管理者を持つことが難しいということです。理由は主に2つです。

 ①一流の経営管理者が魅力を感じるには小さすぎるからです。一流の人に対して大企業の一般的な社員の報酬さえ払えない場合があります。かといって、経営管理者を自ら育成することも容易ではありません。そして何より、十分な挑戦の機会と仕事の大きさを与えられないことです。

 ②同族であることに起因します。能力のない親族に地位や役職を与えると親族以外の有能で意欲のある人がやる気を失ってしまいます。辞めてどこかへ行くか、辞めないまでも仕事をやめてしまいます。全力を尽くさず、無難な仕事しかしなくなるのです。

 また、外部との接触が少ないために技術的にも経営的にも知識や能力が時代遅れとなってしまいます。その結果、事業の成否を左右するような社会的変化に気づかないことになります。慎重な分析が要求されている時に計画の必要性を理解できず、勘によってマネジメントしようとしてしまいます。本来は小企業・中企業のトップマネジメントは大企業と比べて多芸であることが求められるのです。そして、大企業のように訓練された部門長から支援を得るようなことが困難なのです。

問題の対処法

 とはいえ、これらの問題に対処するためにできることはないのでしょうか。同族企業においては実力に基づかずに仕事を与えないことです。実力のない親族を営業部長にすれば、市場を失うばかりではなく、最も必要とする他の優秀な経営管理者までを失うことになります。給与を支払うだけであれば出費だけで済むのです。外部の視点を導入することや計画や反省のために部門長とともに年に1週間程度、会議をする時間をつくることも必要なのです。