『大企業であれ中小企業であれ、起業家として成功するには、起業家的な企業としてマネジメントしなければならない。』

P.F.ドラッカー,チェンジリーダーの条件 part5・2章
代表取締役 瀧野 雅一

 この急激な変化の時代にあって、イノベーションを行い、事業を継続し、繁栄しようとするには起業家マネジメントを構築しなければなりません。起業家マネジメントを行うにも、いくつかの注意が必要です。

① 既存の事業部門の下に置く

 既存の事業の運営の最適化を担当している人の元でイノベーションの仕事をおいても無理があります。それまでの考えや方法を変える必要があるからです。片手間に新規事業を行おうとしてもうまくいかないのです。

② 大企業と起業家たちとの合弁

 起業家たちは官僚的、形式的、保守的な大企業の考え方、方法、文化に息を詰まらせてしまいます。大企業の人たちも起業家たちのすることが理解できません。規律に欠けた粗野な夢想家に見えてしまいます。大企業が起業家として成功している多くの場合、自らの人材によって新規事業を手がけたときです。自らの人材とは、互いに理解し合える人たち、信頼し合える人たち、ものごとの進め方を知っている人たち、一緒に仕事をしていける人たちです。

③ 得意な分野以外でイノベーションを行おうとする

 得意な分野以外でイノベーションを行おうとしても、成功することは滅多にありません。多角化をイノベーションと一緒にしてはいけません。新しいものは必ず問題に直面します。その時に事業に精通していなければ、問題の解決に時間がかかり過ぎてしまいます。理解していない分野で試みるには難し過ぎます。多角化は市場や、技術についての共通点がない限り、上手くはいかないのです。

④M&A

 買収された側のマネジメントが長く留まってくれることはほとんどありません。したがって、ベンチャービジネスを取得しても買収先の企業にマネジメントを送り込まなければならなくなります。なぜなら、オーナーであればすでにお金持ちになっています。雇われているマネジメントであれば、さらに地位が上がりそうな場合にしか留まってはくれません。特に起業家的でない企業が起業家的な企業をM&Aした時は、買収先のビジネスベンチャーのマネジメント達は、親会社の人間とは一緒にやっていけないと思ってしまいます。

 ①~④の方法で上手くいかないとすると、起業家マネジメントを自らの組織のなかに構築するしかありません。

 特に急激な変化の昨今、イノベーションを行い、成功し、成長しようと思えば、組織全体にイノベーションの意欲を醸成し、イノベーションと起業家精神のためのマネジメントを確立しなければならないのです。