『時間は希少な資源である。時間を管理できなければ、何も管理できない。』

P.F.ドラッカー,経営者の条件・第2章
代表取締役 瀧野 雅一

 成果をあげるために身につけねばならない5つの習慣の一つ目は、『時間を管理する』ことです。

 時間とは、経営資源であることは広く知られています。経営資源とは人・物・お金・時間のことです。人は雇うことができ、物は買うことができ、お金は借りることができます。時間はどうでしょう? 時間は雇ったり、買ったり、借りたり、増やしたりすることができません。

 しかし、誰もが平等に持っているものです。あらゆる仕事は時間を使って行います。つまり、成果をあげるのは時間の使い方次第であること、時間を管理するということは活動を管理するということが理解できます。しかし、多くの人たちが代替できない必要不可欠な資源を、配慮のないままに扱ってしまいます。

なぜ時間が足りなくなるのか

 何の成果ももたらさない仕事が、時間の大半を奪っていきます。

 営業部長や店長は大口顧客からの電話に「手がふさがっているので」とは言えなかったり、働く仲間から息子がサッカーで活躍している話を聞いてあげたり、役所の上席は議員から電話が来て電話帳やネット検索すれば簡単に分かることを聞いてきても、丁寧に対応した方がスムーズに物事が運びます。成果には寄与しないが無視のできない仕事に時間をとられていきます。

 仕事のほとんどは、わずかな成果をあげるためでも、かなりのまとまった時間を必要とします。細切れの時間では何もできず、結局やり直さなければならなくなります。

(図)時間管理のマトリックス
  • いかに第2の領域に時間をつくることができるか、第1の領域の仕事が多いビジネスパーソンは第2の領域である準備や計画を怠った結果でもある。
  • 無駄な会議とは会議なの時間通りに集まらなかったり、集まっても議論しなかったり、議論をしても決めなかったり、決めたことを実行しなかったりすること。
成果をあげるための時間管理のプロセス
1 時間を記録する

 時間は記憶による管理ではなく、記録による管理が有効です。記憶による時間管理はあいまいになったり、すべき時間に割いていると勘違いしがちになります。

2 時間を整理する

 記録した活動時間のうち、浪費と思われる非生産的な活動を見つけて見直します。

(1) 活動そのものを止めること(廃棄)=する必要のない仕事、何の成果も生まなくなった仕事を見つけ止める(夕食会・会議・懇親会の二次会など)

(2) 他の人でもやれることは任せること(委譲)=自らが行う仕事を委譲するのではなく、自らが重要なことに取り組めるように他の人に出来ることは他の人にやってもらう

(3) 人に聞く=気づかずに他の人の時間を奪っていることがあるので、「あなたの仕事に貢献できず、時間を浪費させていることを私はしていませんか?」と聞く

3 時間をまとめる

 不必要かつ非生産的な時間が多いことについては自分自身がよく知っています。しかし、時間を整理すること、習慣を変えることはつい恐れてしまいます。なぜかというと、間違って重要なことを整理(廃棄)してしまうのではないかと考えてしまいます。勇気を持って廃棄する時間をみつけましょう。そして、愛着を持って時間を使いましょう。

 次回は『貢献を重視する』についてです。