『企業家は体系的にイノベーションを行わなければならない。(中略)イノベーションの体系とは、具体的、処方的な体系である。(中略)具体的には、イノベーションの機会は七つある。』
P.F.ドラッカー,(引用元:イノベーションと企業家精神第一部・第2章)

●イノベーションを起こす七つの機会
❶予期せぬ成功と予期せぬ失敗を利用する
❷ギャップを探す
❸ニーズを見つける
❹産業構造の変化を知る
❺人口構造の変化に着目する
❻認識の変化をとらえる
❼新しい知識を活用する
❺人口構造の変化に着目する
人口の増減、年齢構成、雇用、教育水準、所得など、人口構造の変化ほど明白なものはありません。それらの変化がもたらすものは予測が容易です。しかも、リードタイムまで明らかです。20年後の労働力はすでに生まれています。現在の労働力となっている人たちの全てが、45年後くらいには退職しています。
人口構造の変化は、いかなる製品が、誰によって、どれだけ購入されるかに対して大きな影響を与えます。アメリカの10代の女性は安い靴をたくさん買います。耐久性ではなく、ファッション性を基準にします。この同じ女性が10年後にはあまり靴を買わなくなります。17歳頃の2割程度に減ります。履き心地や耐久性が基準になります。先進国では、60
~70代の退職後間もない人たちが旅行の市場において、中心的な世代となります。ところが、10年後にはこの同じ人たちが、高齢者コミュニティの顧客になります。
人口の重心の移行にともない、時代の空気が変化します。10代は相変わらず10代のように行動します。1970年代半ばには大学キャンパスが反体制とは無縁の存在となります。かの学生運動家たちでさえ、圧倒的多数がキャリア、昇進、節税、ストックオプションを考える上昇志向の労働者になるであろうことは、予測されていました。現場に行き、見て、聞く者にとって、人口構造の変化は信頼性と生産性の高いイノベーションの機会となります。
❻認識の変化
コップに「半分入っている」と「半分空である」は、量的には同じですが、意味は全く違います。とるべき行動も違います。世の中の認識が、「半分入っている」から「半分空である」に変わる時、イノベーションの機会が生まれます。
例) アメリカではかつて、食事の仕方は所得階層によって決まっていた。一般人は簡単な夕食をとり、お金持ちは晩餐を楽しんでいた。これが変化し、今では同じ人が夕食をとり、晩餐も楽しむ。その結果の一つが簡単に栄養をとる食事、すなわちファストフード店、マクドナルドやケンタッキーフライドチキンの出現でした。
コップに「半分入っている」か「半分空である」かは、実体が変化するわけではありません。認識が変わります。認識の変化が起こっても実体は変化しません。意味が変化します。認識の変化はすでに事実として存在します。極めて具体的です。確かめることもできます。そして何よりも、イノベーションの機会として利用することができるのです。
