『大企業であれ中小企業であれ、既存の企業家として成功するには、企業家的な企業としてマネジメントしなければならない。』

P.F.ドラッカー,(引用元:企業家精神・第13章
代表取締役 瀧野 雅一

 急激な変化の時代にあって、イノベーションを行い、成功し、繁栄しようとするならば、企業家的なマネジメントを構築しなければなりません。企業規模の大小はイノベーションや企業家精神の障害とはなりませんが、大組織の官僚的体質や保守的体質は、イノベーションと企業家精神にとって深刻な障害となります。

 しかしそれは中小の組織においても同じです。企業であれ公的機関であれ、最も企業家精神に乏しく最もイノベーションの体質に欠けているのは、むしろ小さな組織かもしれません。

 企業家精神は生まれつきのものではありません。企業家精神とは仕事です。相当数の企業(中堅企業・大企業・巨大企業など)が企業家としてのイノベーションに成功しているという事実が、いかなる企業においても実現できるということを示しています。

 ただし、そのためには意識的な努力が必要で、学ぶことも必要です。企業家的な既存の企業は企業家精神の発揮を自らの責務としなければなりません。そのために自らに規律を課し、そのために働きます。そして、それらを実践します。

企業家精神の条件
①企業家精神のための経営戦略

 イノベーションを受け入れ変化を脅威ではなく機会とみなす組織、また、企業家としての厳しい仕事を遂行できる組織を作らなければなりません。そして、企業家的な環境を整えるための経営政策と具体的な方策のいくつかを実践しなければなりません。

  • イノベーションを既存の事業よりも魅力的かつ有益なものとする
  • 陳腐化したもの、生産的でなくなったものの廃棄を制度化する
  • イノベーションに挑戦できる最高の人材を自由にしておく
  • 2種類の会議を行う(問題に集中する会議と機会に集中する会議)
  • 提案者には提案の具体化について責任をもたせる
  • 提案者は具体化について報告する(提案が意味をもつために何をするか)
  • 顧客や市場について何を前提にしているか
  • どれだけの人材や資金が必要か
  • どれだけの時間が必要か
  • いかなる成果が期待できるか
②企業家精神のための組織構造と人事
  • 新事業は既存の事業と分離して組織する

理由❶既存の事業に責任をもつ人たちの時間とエネルギーを奪ってしまうから
理由❷新事業は既存の事業と比べ、つまらないものに見えてしまうから
理由❸既存の事業に責任をもつ人たちは、既存の事業を優先してしまうから

  • 高い地位にある人が新事業の核となる

理由❶新事業は赤ん坊のようなもので、既存の事業を担当する人たちには赤ん坊に割ける時間はないから
理由❷ 見込みがなければ中止させることができるから

 企業家的なプロジェクトのための人事もほかの人事と同じです。人事にはリスクが伴います。したがって、人事の決定は慎重かつ細心に行わなければなりません。

❶複数の候補者を挙げる
❷実績を調べる
❸一緒に働いたことのある人にヒアリングをする など