『組織や組織の業績に重大な影響を及ぼすような意思決定を行うことを期待されているものこそエグゼクティブである。エグゼクティブは成果をあげるために意思決定を行う。エグゼクティブたる者は、いくつかの明確な要素と手順から構成される体系的なプロセスとして、それらの意思決定を行わなければならない。』

P.F.ドラッカー,経営者の条件 第6章
代表取締役 瀧野 雅一

 意思決定とは判断のことで、いくつかの選択肢からの選択です。「○○しか方法がない」という場合は意思決定の必要がないのです。例えば、機械が故障したら修理するしかないので、意思決定の必要がありません。機械がいつもと違う音がしている場合、このまま使用しても問題がないのか、修理が必要なのか、修理は作業を停止して直ちに行うべきか、作業終了後でいいのか、次回の定期メンテナンスの時でいいのか。つまり、意思決定とはいくつからの選択肢から選択することなのです。しかしながら決定が、正しいものと間違ったものからの選択であることは稀で、せいぜいのところ、かなり正しいであろうものとおそらく間違いであろうものからの選択です。しかし現実はどうでしょうか?一方が他方よりも多分正しいだろうとさえいえない行動から選択しなければならないのです。

成果をあげる意思決定の原則
  • 重要な意思決定に集中する
  • 個々の問題ではなく根本的なことについて考える
  • 不変の物を見る
  • 決定の早さを重要視してはいけない
  • 形にこだわるのではなくインパクトを重視する

原則に従って行動したからといって必ず上手くいくわけではありません。しかし、原則に反して行動するとほとんど失敗してしまいます。原則に従わずに運良く上手くいくこともありますが、事業活動を運に任せるわけにはいけません。原則を知り、原則に従って行動した方が良いでしょう。そしてドラッカーの言う成果のあがる意思決定のプロセスは問題を理解し、分析し、判断し、リスクを冒し、成果をあげる行動に至るまでのプロセスなのです。

成果をあげる意思決定のプロセス
問題の種類を知る

 その問題が何度も起こるような一般的な問題なのか、それとも個別の対処が必要な例外的・個別的な問題なのかにかによって対処の仕方が変わります。基本的な問題は原則と手順によって解決していけば良いし、例外的な問題は状況に従い個別に解決していかなければなりません。一般的な問題を例外的な問題として対処するから膨大な時間がかかってしまうのです。

必要条件を明確にする

 意思決定による達成すべき目標を決め、その必要条件を明確にしておく必要があります。大まかに、人(人数・やスキル)、時間(納期)、お金(予算)のことです。逆説的にいうと、出来ない理由はその人では出来ないのか、納期に間に合わないのか、その予算では出来ないのか、と考えると整理がつきます。もちろん、何のための意思決定なのかという目的も明確にしておくことも必要でしょう。

何が正しいかを知る

 意思を決定する際、何が正しいかを考えておく必要があります。何故ならばその決定に妥協が必要になることがあるからです。必要条件が潤沢にあるとは限らないからです。むしろ、潤沢にあるほうが稀なのです。そして、「誰が正しいか」、とか「何が受け入れられやすいか」という観点で妥協することも防ぐためです。

 次回は「成果の上がる意思決定」の続きです。