『トップマネジメントは実在する存在である。だが、その本質は権力か。ボスの別名か。特有の仕事はあるのか。あるのであれば、それは何か。いかなるものか。』

P.F.ドラッカー,(引用元:マネジメント【中】 第49章
代表取締役 瀧野 雅一

 トップマネジメントの仕事は、他のマネジメントの仕事とは根本的に違います。多元的で断続的です。時おり、矛盾した気質を求められます。

 職能別組織、チーム型組織、分権型組織のいずれのトップマネジメント以外のマネジメントは、一つの仕事に専念出来ます。したがって、組織の基本単位は全て、そのなすべき貢献によって規定されます。
 ところが、トップマネジメントはそうではありません。トップマネジメントの仕事は多元的で、その仕事の種類は一つではありません。また、トップマネジメントの仕事には、民間の企業と公的サービス機関の間において違いはありません。

・組織としてのミッションを考える役割

目標の設定、戦略と計画の作成、明日のための意思決定という役割が派生します。「われわれの事業は何か(現状)。何であるべきか(理想)。」を考えなければなりません。これらの仕事は、組織の事業全体を見ることができ、全体の関わりのある意思決定を行うことができ、今日のニーズと明日のニーズとのバランスを図ることができ、且つ成果に向けて人材と資金を配分することができる者だけがなしえます。

・基準を設定する役割

組織全体の規範を定める役割、つまり、良識機能を果たす役割があります。組織には、目的と実績との違いに取り組む機関が必要です。主な活動分野において、ビジョンと価値基準を設定しなければなりません。これも、組織全体を見ることのできる機関の果たすべき役割です。

・組織をつくりあげ、それを維持する役割

明日のための人材、特に明日のトップマネジメントを育成する必要があります。組織の精神をつくりあげることも、トップマネジメントの役割です。トップマネジメントの行動、価値観、信条が、組織にとっての基準となり、組織全体の精神を定めます。加えて、組織構造を設計する役割あります。ここでも事業全体を見、全体を考えて意思決定のできる者が必要とされます。

・渉外の役割

顧客や取引先との関係です。金融機関や従業員との関係もそうです。地域コミュニティや行政との関係もあります。それらの関係が事業全体に大きな影響を与えます。これもまた、組織全体を代表し、発言し、コミットすることのできる者だけが扱うことのできる仕事です。


※次回に続きます。次からは環境問題、社会的責任、雇用に対する姿勢に関し、トップマネジメントとして行うべき決定や行動が出てきます。
・公的行事や夕食会への出席など、儀礼的な役割
・重大な危機に際しては、自ら出動するという役割