『小企業の人たちは、いまだにこういっている。「マネジメントはGEのような大企業のためである。うちのような小企業には必要ない」。これは間違いである。』
P.F.ドラッカー,(引用元:マネジメント(下) 第54章)

マネジメントは大企業のためで、小企業はマネジメントに関心を持つ必要はないと思われがちです。しかし、小企業は大企業以上に組織的かつ体系的なマネジメントをもたなければなりません。確かに大仰な本社スタッフは必要ありません。込み入った手法や手続きも必要ありませんし、そのようなものを持つゆとりもありません。しかし、高度のマネジメントは持たなければなりません。
◯小企業のトップマネジメント
①戦略を持つ
小企業は、限界的な存在にされてはいけません。その危険は常に存在します。したがって、際立った存在となるための戦略を持たなければなりません。有利に戦うことのできるニッチを見つけなければなりません。地理や嗜好など、市場に関わるニッチ、サービスの卓越性に関わるニッチや技術に関わるニッチでもかまいません。
現実にはほとんどの小企業が戦略を持っていません。機会中心ではなく、問題中心だからです。問題に追われて日々を送ります。だからこそ小企業の多くが成功できません。したがって、小企業のマネジメントに必要とされることは、「われわれの事業は何か」との問いで現実を認識し、「何であるべきか」との問いで理想を追求することなのです。
②足りないものがある(特に人材)
小企業は集中が不可欠です。基幹活動を識別し、トップマネジメント・チームの誰かの仕事にしない限り、集中は行われず、分散が起こるだけとなります。小企業では特にトップマネジメント・チームの長たるトップ本人が成果を上げなければなりません。
職能別の仕事を何も担当せずに、全ての時間をトップマネジメントの仕事に投入できたとしても、仕事の負担は十分に重いはずです。なぜなら、顧客からの要求があり、さらには従業員、取引先、銀行からの要求があるからです。
小企業の最大の強みは、トップの人間が社内の重要な人間全員の望み、考え、仕事の仕方、強みと弱み、実績と可能性を知りうるところにあります。もちろん、そのためには時間が必要です。自由な時間、予定の入っていない時間、問題解決のためのものではない時間が必要です。
小企業といえども、リーダー的な地位を得るための戦略を必要とします。そのためには、社外の人間も知らなければなりません。例えばチェッカー・マラソンのように、タクシー用の乗用車市場でリーダーとなるには、タクシー用乗用車の要求性能を決める自治体の担当者を知らなければならないし、タクシー会社のオーナーも知らなければなりません。タクシーの運転手や乗客と話をする時間もなければなりません。
もちろん小企業のトップのほとんどは、すでに外で十分に時間を使っています。事実、大切な顧客とは自ら会っています。借入には自分で銀行に出かけています。しかし、本当に必要としているのは、それら以外に使う時間なのです。
※次回に続きます
③トップマネジメント・チームのメンバーの役割を組織化すること
④必要とする情報
