『組織がなければマネジメントもない。しかし、マネジメントがなければ組織もない。』
P.F.ドラッカー,(引用元:マネジメント【上】第1章

組織を機能させるためには、マネジメントが成果をあげなければなりません。環境問題の解決など、より良い社会の実現を期待できるのは企業です。企業のマネジメントに対する批判も、過去の実績から来る期待の裏返しともいえます。
批判の根底にあるものは、「あれほど良くできるなら、なぜもっと良くできないのか」という期待と捉えることもできます。マネジメントの仕事は、肩書きや個室などのシンボル以上のものが必要で、マネジメントの仕事には、高度な仕事ぶりが要求されます。
○マネジメントの役割
①自らの組織に特有の目的とミッションを果たす
企業のマネジメントは、利益に責任を負うことを意味します。企業のあらゆる活動が経済的な成果を意識しなければなりません。経済的な成果によって、自らの存在と権限を正当化することができます。
②仕事を生産的なものにし、働く人たちに成果をあげさせる
仕事とは、作業と手順のプロセスです。プロセスは管理できます。仕事のプロセスを管理するということは仕事を管理するということであって、働く人を管理することではありません。働く人の妨げとなってしまう管理手法は、本末転倒です。管理そのものが目的化してしまい、仕事の邪魔をしてはいけません。
管理手段は効率的で、意味のあるものでなければなりません。少なくてすむデータほど優れたデータです。データの種類を多くしても、よりよいマネジメントができるわけではありません。
そして、管理手段は行動志向でなければなりません。データの目的は情報収集ではなく行動です。働く人たちに成果をあげさせることは、マネジメントの責任なのです。
③自らが社会に与えるインパクトを処理するとともに、社会的な貢献を行う
企業は働く者に仕事を与え、株主に配当を与えるために存在しているのではありません。消費者に財とサービスを供給するために存在しています。
学校は先生のためではなく、生徒のために存在しています。企業が仕事を行うためには、個々の人たちやコミュニティ、社会に対して何らかの影響を与えてしまいます。
車を走らせれば排気ガスを排出します。活動をすればゴミが出ます。それらの影響は極力少なくしなければなりません。知りながら害を与えてはいけません。
そして、社会課題の解決についても企業への期待は高まる一方です。社会課題への貢献が企業にとっての重要な役割なのです。なぜなら、社会が滅びた後なお、存在しうる企業などあり得ないからです。