『意思決定は機械的な仕事ではない。リスクを伴う仕事である。それは判断力への挑戦である。大切なことは、問題への答えではなく、問題についての理解である。』
P.F.ドラッカー,(マネジメント【中】 第37章)

※前回からの続きです
○意見の不一致の必要性
マネジメント上の意思決定は全会一致によって行うべきものではありません。対立する意見が衝突し、異なる視点で対話をし、いくつかの判断からの選択があって行うことができます。
したがって、意思決定の原則は、意見の対立がないときには行わないことが原則と言われています。
◎意見の不一致の必要性の理由
①組織の囚人になることを防ぐため
•善意のもとに、都合の良い決定をしてもらおうとするから
②代案を得るため
•決定が有効でなかった時、途方に暮れてしまうから
•代案を考えてあれば、次に頼るべきもの、十分に考えたもの、検討済みのものを持つことができるから
③想像力を刺激するため
•不確実な問題においては、状況を変える創造的な答えが必要だから
成果をあげる者は、意図して意見の不一致をつくりあげます。そうすることによって、もっともらしいが間違っている意見や不完全な意見によって騙されることを防げます。選択を行い、決定を行えるようにします。決定を下す段階で、その意思決定に欠陥があったり、間違っていることが明らかになっても、途方に暮れることはありません。自分だけでなく、同僚たちの想像力も引き出すことができます。意見の不一致は、もっともらしい決定を正しい決定に変えることができ、正しい決定を優れた決定に変えることができるのです。
○意思決定は必要か
常に「意思決定は必要か」を検討しなければなりません。何もしないことを決定するのも一つの決定です。何もしないと事態が悪化するのであれば、意思決定を行われなければなりません。このことは機会についても同じです。行動しないと機会を失うのであれば行動しなければなりません。行動して状況を根本から変えるのです。
○妥協
意思決定が満たすべき必要条件は十分に検討し、代替案は全て検討し、得るべきものと付随する犠牲とリスクは全て天秤にかけ、誰が何を行うかも理解したところで意思決定の準備は整います。これで何を行うべきは明らかになったところで決定はほぼ完了します。しかし、決定の多くが行方不明になるのがここからです。決定が評判も良くなく、簡単でないことが急に明らかになってきます。ここで、決定には判断と同じくらい勇気が必要であることが明らかになるのです。
薬が苦いとは限りません。しかし、大概の良薬は苦いのです。意思決定が苦ければならないという理由はありませんが、成果を上げる決定も大概苦いものです。苦さの原因は完全な意思決定などありえないからです。必ずと言っていいほど何かを我慢しなければなりません。両立不能な目標、対立する意見、矛盾する優先順位をバランスさせなければなりません。最善を尽くしたとしても、ほぼ満足という程度です。しかもそこには何らかのリスクが残るからです。
