『トップマネジメントの仕事は一人の仕事ではなく、チームによる仕事である。トップマネジメントの役割が要求するさまざまな体質を、一人で併せ持つことは不可能である。』

P.F.ドラッカー,(引用元:マネジメント【下】 第51章
代表取締役 瀧野 雅一

 トップマネジメントの仕事がチームの仕事であることを認識することは、特に中小の企業において重要です。トップが一人しかいないということは、ワンマン経営になってしまいます。トップがワンマンの組織では、トップの承継が問題になり、それは賭けに近い状態です。なぜなら、トップマネジメントの仕事に適性があることを証明せずにトップに就いてしまうからです。トップのワンマン体制が原因で、企業が成長できないこともあります。

◯トップマネジメント・チーム

 トップマネジメントがチームとして機能するには、いくつかの条件を満たす必要があります。チームは仲の良さで機能させることはできません。好き嫌いは問題ではありません。人間関係に関わりなく、トップマネジメントはチームとして機能しなければならないのです。

1 トップマネジメント・チームのメンバーは、それぞれの担当分野において最終的な決定権をもちます。各メンバーの決定に対し、他のメンバーが異議を唱えることはできません。担当する者が最終決定者です。他のメンバーからの異議を認めれば、政争が起きるだけです。トップマネジメントそのものの権威が低下します。

2 トップマネジメント・チームのメンバーは、自らの担当以外の分野について意思決定を行うことはできません。

3 トップマネジメントは委員会ではありません。チームです。チームにはキャプテンがいます。キャプテンはボスではなく、リーダーです。いずれにしても、キャプテンを欠くことはできません。特に危機に陥ったときには、他のメンバーを一手に引き受ける意欲、能力、権限をもつ必要があります。全体の危機に際しては、一貫した命令系統が不可欠です。

4 トップマネジメント・チームのメンバーは、仲良くする必要はありません。尊敬し合う必要もありません。ただし、攻撃し合ってはなりません。会議室の外で互いのことをとやかく言ったり、批判したり、けなしたりしてはなりません。ほめ合うことさえしない方がよいのです。このことを徹底させるのがチームリーダー、キャプテンの仕事です。誰であろうと、他のメンバーを批判したり、非難したり、軽んじるようなことを言わせたりしてはなりません。

5 トップマネジメント・チームのメンバーは、自らの担当分野では自ら意思決定を行わなければなりません。しかし、ある種の意思決定はチームに留保する必要があります。❶既存の製品ラインの廃止❷新たな製品ラインへの進出❸巨額の資本支出を伴う決定❹主要な人事(人事は多数決で決められるものではないから)など

6 トップマネジメントの仕事は、トップマネジメント・チーム内のコミュニケーションに精力的に取り組むことを要求します。トップマネジメントには、あまりに多くの仕事があり、それぞれの担当する分野で最大限の自立性を持って行動しなければならないからです。

 いかなる組織といえども、業績はトップマネジメント如何にかかっています。組織におけるあらゆる仕事のうち、最も組織化することの難しいのがトップマネジメントの仕事です。しかし、それは最も組織化することの必要な仕事なのです。