『規模が違えば、構造が違い、経営政策が違い、戦略が違い、行動が違ってくる。』
P.F.ドラッカー,(引用元:マネジメント【下】第53章)

物体の面積は直径の2乗、体積は3乗で増加します。直径が2、3、4と増加すれば、表面積は4、9、16と増大し、体積は8、27、64と増大します。この幾何学上の公理がマネジメントにおいても重要な意味を持ちます。それは、組織の規模と構造と戦略の間には密接な意味があり、事業によって適切な規模と不適切な規模があります。
幾何学上の公理は、組織にはそれを超えると生産性が低下し、さらにはマネジメントが不可能となる規模の限界があり、加えて規模の変化は連続的な変化ではなく、ある一定点で飛躍的な変化を起こすことを意味します。
昆虫も硬化した皮膚では体を支えられなくなり、それより先は骨格を必要とします。社会の組織体は、規模についての公理を適用するにはあまりに複雑ですが、社会の組織においても体積は表面積よりも急速に増大します。したがって、重量はそれを支える構造を上回って増大します。その結果、規模の変化は量の変化ではなく、質の変化となります。こうして適切な規模と不適切な規模の違いが生じます。しかも絶対的な規模の限界があり、機能するには大きすぎるという規模があるのです。
例)人体は、脳の大きさに関してはすでにこの限界に達しています。これ以上に脳が大きくなり、あるいは複雑になれば、それを支えるために必要とされる酸素を供給するには、肝心の人そのものを殺しかねない血圧を必要とします。
◯規模と戦略
規模は戦略に影響し、戦略も規模に影響します。小さな組織は大きな組織にできないことができます。小さいだけでなくシンプルであるために、反応が早く機敏です。資源を重点的に投入もできます。
もちろん大きな組織には、小さな組織にはできないことができます。長期にわたって資源を投入でき、長期の研究プロジェクトを手掛けることができます。したがって、規模に応じた戦略を考えることがトップマネジメントにとって決定的に重要です。
しかし反面、戦略が規模を規定します。世界市場とまではいかなくても、大きな市場でリーダー的な地位を狙うためには、大企業でなければなりません。しかし大きな市場であっても、そこでニッチを狙うのであれば、小規模のままでいたほうがいいのです。
適切な規模を得るには、徹底した検討とたゆまぬ努力がなければなりません。
- 規模のマネジメント
- 大きいということはどれだけの大きさか
- どの程度が適切な大きさであり、不適切な大きさか
- それ以上の成長が望ましくない限界はどこか
- 複雑さと多様性のマネジメント
- 複雑さとはどれだけの複雑さか
- 複雑すぎるということはどれだけの複雑さか
- 複雑さがもたらす問題は何か
- 同族企業に関わる問題
- 同族企業は永続しうるか
- 同族企業は中小企業の域を脱しうるか
- 同族企業の限界は何か
- グローバル企業に関わる問題
- 規模、市場、製品、技術の複雑さに加えて、文化の複雑さと政治的な要因の複雑さ
- 変化と成長のマネジメント
- 変化と成長がどの段階に達したならば、マネジメントは自らの特性、構造、行動を変えなければならないか
- 組織に余計な負担をかけずに、いかにして変化と成長を可能にするか
- イノベーションのマネジメント
- イノベーション志向たるには、組織はいかにならなければならないか
- いかに構造されマネジメントされなければならないか
